大日本帝国陸軍

陸軍を象徴する男

呼び名は陸(りく)。階級は大佐

陸は、明治・大正・昭和と日本の近代史に大きな影響を与えた巨大な組織、「陸軍」を象徴する存在であり、本作品の主人公。

陸は特定の一人の軍人を表した存在ではない。時代ごとに陸軍を支えた多くの軍人たちの歩みや想い、その歴史の積み重ねによって形作られた、「陸軍という組織の象徴」である。

その中で一つの人格を持ち、悩み、傷つき、成長していく「一人の存在」である。
大日本帝国陸軍
兵科は基本的に騎兵だが、陸軍黎明期から象徴として組織づくりに関わってきたため、他の兵科として活動することも多い。特に歩兵となる機会が多く、次いで憲兵、砲兵、工兵、航空兵(※パイロットではなく兵科幹部)などを務めることもある。

輜重兵になることも可能だが、象徴としては直接戦闘に関わる兵科を担当することが多いため、その機会は少ない。後方支援を担う各部についても同様である。もっとも、陸自身は陸軍全体を象徴する存在であり、すべての陸軍象徴たちの上司という立場にある。

現在は落ち着いた雰囲気を漂わせているが、実は幼い頃は素直で泣き虫という、本人にとっては思い出したくない黒歴史がある。成長とともに「ズオオオオオン……」という独特のオーラを纏うようになり、近寄りがたい空気を醸し出すようになった。

※この頃を知るのは海と大佐だけ。当時の陸は、海軍の象徴である二人のことが大好きだったらしい。

激動の幼少時代

幼少期は江戸末期、幕末までさかのぼる。 近代陸軍の黎明期、幕府が設立した講武所へ通うことから軍人としての歩みを始め、その後はフランス語学校を経て、フランス軍事顧問団による教導訓練を受けた。

やがて幕府と反幕府諸藩との武力衝突が始まると、幼いながらも幕府陸軍の一員として戦場に随行する。 しかし、幕府の衰退とともに大政奉還・王政復古による政権交代が起こると、新政府軍へ所属を移した。戊辰戦争では、かつて自らが属していた幕府陸軍と戦うという数奇な運命をたどることとなる。

フランス式とドイツ式

戊辰戦争後、新政府は幕府時代の流れを受け継ぎ、陸軍をフランス式軍制として整備していった。 陸も大阪兵学寮(陸軍兵学寮)へ入寮したのちフランスへ留学し、再びフランス式の軍事教育を受ける。 しかし、その後の国際情勢の変化により陸軍首脳部は次第にドイツ式へ傾倒し、陸軍大学校ではドイツ式教育を学ぶこととなった

※ 多くの制度はドイツ式へ移行したものの、フランスとの関係が完全に途絶えたわけではない。陸軍大学校ではドイツ式、士官学校ではフランス式を採用する時期もあり、大正時代には航空教育のためフランス軍事顧問団を再び受け入れている。日本へ派遣された教官の数も多く、日本陸軍の近代化においてフランスが果たした役割は非常に大きかった。

陸軍の象徴として

陸軍の象徴として、陸軍省や参謀本部など組織の中枢にいることが多かった。一方で、全国の部隊や各種施設、日本の統治下にあった地域などを飛び回ることも多く、多忙な日々を送っていた。 数多くの戦役にも参加し、ときには自ら最前線へ赴くことを望み、一兵卒と苦楽を共にすることもあった。

軍閥・権力闘争の影

明治維新以降、日本では薩長を中心とした藩閥体制が築かれ、明治・大正・昭和を通して、その時代ごとに形を変えながら権力闘争が続いていた。 陸軍内でも軍閥同士の対立は絶えず、その影響は軍内部だけでなく、政治や国民にも大きな影響を及ぼしていた。

陸の周囲には、各兵科を象徴する仲間たちがいる。それぞれが専門分野で陸を支え、大きな力となっていた。 しかし、陸軍内部の派閥抗争や組織の矛盾だけは、誰かに分け与えることができない。陸はそのすべてを、自ら一人で抱え続けていた。 積み重なった重圧は、ときに身体の痛みや意識の混濁となって現れ、人格形成にも大きな影響を与えていくこととなる。

癒える事のない傷跡

終戦時、陸軍は戦争指導という意味において、その責任を一身に受けることになった。陸自身もしばらくは自由のきかない身となり、「陸!海!空!」のキャラクターの中では現場復帰が最も遅い。現在に至るまで内なる傷は深く、完全に癒えることはない。表面上は穏やかになったものの、ズオオン感が抜けきらず、怖がられてしまうこともしばしばある。

陸軍に代わる新たな陸上防衛の象徴として陸自が誕生したが、その発足にあたっては、陸の存在は徹底的に排除され、互いの関係も断ち切られていた。
その後もしばらくは陸自へ近づかないよう厳しく言い含められ、ある程度自由を取り戻してからも、今度は陸自身があえて距離を置くようになる。
その関係は現在まで続いている。

陸自との距離を置いている理由は、戦後の断絶だけではない。
かつて巨大な力を持った陸軍という存在を背負っているからこそ、自分の経験や考えが、無意識のうちに現代の組織へ影響を与えてしまうことを恐れている。
守りたいという想いであっても、時として大きな力となり、周囲を動かしてしまうことを、陸自身が誰よりも知っているからである。

一方で、自ら近づくことはできなくても、戦車兵をはじめ、かつての陸軍軍団が段階的に復帰し、陸自を支えている姿を見て、陸は静かに安堵している。

メインビジュアル

メインビジュアルでは、1930年制定の昭五式軍衣を着用している。 腹部に付けているのは、陸軍大学校卒業の証である「陸大徽章」。黄色と白の斜めの飾りは、副官であることを示す副官懸章である(階級は大佐のため、高級副官仕様)。 メインビジュアルで副官懸章を着用しているのは、本作の世界観を表現するためである。陸は陸軍を象徴する存在だが、歴史を動かす主役は、あくまでその時代を生きた人々である。副官懸章には、陸はその人々を支え、ともに歩む存在であるという意味を込めている。 (もっとも、創作作品では外していることも多いですが……。)

モデルは、その後の九八式軍衣へ変更することも可能。

装備としては、十四年式拳銃用ホルスターを着用。斜めに掛けている紐は、拳銃の吊り紐(ランヤード)である。

副官懸章のほか、場面によっては参謀飾緒を着用することもある。

このほかにも、時代や所属する環境に応じて、着用する軍装や装備を変更している。
陸軍2

現在、そして仲間との関係

現在は防衛省「統合幕僚監部」に勤務しており、階級は陸将補(旧軍における少将と大佐の中間にあたる階級)。 相変わらず多忙な日々を送っているが、隣の席にいる海とは、そろそろ仲直りしなければと思いながら、少しずつ歩み寄っている。 もともと幼い頃は大の仲良しだった二人。決して気が合わないわけではなく、「統合幕僚監部」で再び共に働くようになってからは、少しずつわだかまりも薄れてきた。今では、互いにかけがえのない存在として、新たな関係を築き始めている。

大佐とは終戦後から同居している。 もともと仲は良く、士官学校時代には大佐も東京にいたため、一緒に過ごすことも多かった。その後、組織の成長や立場の違いから一時的な溝が生まれることもあったが、大佐の機転によって決定的な対立には至らなかった。それは昭和の戦時体制下でも変わらなかった。 終戦直後、再び歩み寄ってくれた大佐の存在に陸は救われ、それが現在の同居へとつながっている。 陸はその感謝をほとんど口にすることはない。しかし、心の中では誰よりも深く感謝している。 家ではキッチンを爆破されたり、家電を壊されたりと、家事能力に波のある大佐に手を焼くこともあるが、そんな日々も含めて穏やかに暮らしている。

かつての陸軍軍団は、現代においても信頼し合える大切な仲間であり、陸にとってかけがえのない財産である。 家に押しかけて騒ごうが、勝手に飲み食いしようが、寝泊まりしようが、風呂からタオル一枚で出てこようが、時にはタオルすらなかろうが、二階から勝手に侵入しようが、玄関の飾りを変えようが、勝手に家を修理しようが―― 陸にとっては、それすら許せるほど心を許した存在たちである。 (もっとも、大佐にとってはたまったものではない。)

騎兵時代の名残なのか、乗り物が大好き。同じく乗り物好きの戦車兵とは現代でも非常に仲がよく、ドライブやツーリングを楽しんでいる。車はレクサスを中心に数台所有(輸入車に乗ることもあるが、大体はドイツ車)。国産バイクも所有しており、日本国内であれば、全国各地の連隊区や部隊、そこに暮らした人々との記憶が積み重なっているため、ナビいらず。運転も上手いので、大佐や海に、いいように利用されている気がする昨今である。

ご飯も大好きで、自炊は得意。戦時中は補給路の絶たれた前線にいたこともあり、食に関しては人一倍敏感。「食べられる」という当たり前の幸せを大切にしており、食べている姿もどこか幸せそうである。
陸3
軍帽を脱ぐ
陸4
外套
陸5
もふもふ
陸6
九八式
陸7
三式
陸8
四五式
陸9
明治
陸10
陸自(旧制服)
陸11
戦闘服
陸12
陸自(常装冬服)
読了