陸と海で夢遊病者は此岸にての動画解説

この度は動画を見て頂きありがとうございました!

元々観賞用としてローカルで楽しんでいたモーションでしたが、陸の配布記念日が近かったので、動画として完成させました。

急遽作った為内容的には詰め切れていませんが、中には海上輸送というテーマをふんわり入れたので、その点を少し補足させて頂きたいと思いました。(一応歴史的事象も書いていますが、時系列で詳しく説明してはいないのでその点はすみません)

また今回はダンス動画ですが、モーションや歌詞を自分なりに解釈して作っているので、その辺りも合わせて書いてみようかと思います。




海上輸送をテーマにした理由


戦時中、日本は海上輸送において多くの艦船が沈められています。陸軍の精鋭部隊を乗せた輸送船も目的地に着く前に沈められ、敵と戦う事無く多くの方が亡くなっています。護衛についた軍艦も輸送船と運命を共にしました。兵器や食料等の物資も同じく戦地に届くことはなく、厳しい戦いを強いられ、飢餓を生みました。また軍人のみならず、多くの民間の船員も犠牲となっています。海上輸送は資源の無い日本にとって、また戦地への兵站として、まさに生命線でありましたが、戦時中その多くを守る事ができませんでした。かねてからこの事はもっと知られるべきと考えていたので、今回テーマにした次第です。

輸送船団

このシーンはガダルカナル島からの撤退後、日本軍がニューギニア方面の戦力を増強する為、陸海軍協同の輸送作戦を行っている様子を表しました。


【同じ過ちを犯し続けている】


という歌詞が出てきますが、これまでも厳しい輸送作戦が続き、すでに多くの被害を出している中、再び成功する見込みが低い輸送作戦を行なっている状況を重ねています。事実、これは後に「ダンピール海峡の悲劇」と言われる悲劇的な輸送作戦となりました。


また動画上の二人ですが、直接的にこの作戦に従事しているかは別にして、それぞれ現場で行動している事を表現しています。(陸は略帽に革手袋、図嚢と水筒を持つ戦闘スタイル※、海は艦内帽で軍刀は外しているので艦内での職務スタイル)

※南方だと防暑服というのもあるのですが、時間の関係上これで…汗

輸送船団1
輸送船団2

ダンピール海峡の悲劇

ここでは攻撃を受ける様子を描きました。

映像に出てくる機体は敵機で、それぞれB-17爆撃機とB-25爆撃機です。B-17は高高度から、B-25は低空からの爆撃をイメージして描きました。この作戦で、日本軍の航空掩護もついていましたが、低空からの爆撃に対処できなかったとされています。

【「君を殺してしまった今日」でさえも 「明日と変わらない今日」で】


犠牲者は3000人以上とも言われ、多くの艦船や物資を失ったにも関わらず、この作戦を指揮した将官は責任を問われていません。


そんな理不尽さや、「どうやっても結果は同じだった」という上層部のどこか真剣みを欠いた総括、そして二人にとっても、戦力の喪失は立て続けに起きているので、感覚の麻痺※のようなものをこの歌詞に重ねました。


※元々駒という感覚もあります

ダンピール海峡の悲劇1
ダンピール海峡の悲劇2

多号作戦

二人の軍装は陸が三式に変わり、海は第三種に変わりました。これは時間の経過を表現したもので、特に三種は昭和19年(1944年)の「臨時海軍第三種軍装令」で本格的に略衣から格上げしているので、その時期以降を意識しています。(これより前にも着用例はありますが、元々陸戦服から発した第三種をすんなり海が着るのを想像できないので、発令されてから本格的に着たイメージ)


【同じ過ちを犯し続けている】


ここでは「多号作戦」というレイテ島への陸軍部隊増援輸送作戦を意識しました。この作戦は陸海軍協同で9回行われており、非常に多くの部隊・艦船が投入されています。動画の海の後ろにいるのは海軍の一等輸送艦※と駆逐艦島風です。いずれもこの作戦に参加しています。


動画中、陸が下に手をついている動作をしていますが、これは元々のモーションではありますが、これまで沈んでいった多くの陸軍兵や輸送船をのぞき込んでいるような雰囲気を感じました。


※一等輸送艦は21隻作られており、その一部が参加しています

多号作戦1
多号作戦2> 多号作戦3
多号作戦4

襲撃を受ける船団

ここの冒頭で海が横たわっていますが、これはレイテ沖海戦と多号作戦の結果、組織的な海上戦力を失った海軍の状態を重ねました。


【「君を殺してしまった今日」でさえも 肉体の糧になって】


ここでのこの歌詞をどう解釈するか悩みどころではあったんですが、一つの要素として、多号作戦で多くの艦艇を喪失し、壊滅状態にある海軍とその犠牲をもって、多少なりとも揚陸した陸軍というのもあるかなと。(ちょっと苦しい…)

ただ!!そもそもレイテ島の戦いの発端が海軍の台湾沖航空戦における戦果大誤認(米国機動部隊壊滅!日本の大勝利と伝えたが、本当は米軍の被害は軽微)によるもので、その情報をもとに陸軍が作戦を変更し大損害を受けているのでなんとも…。(しかも大誤認だったと陸軍には伝えていないと言われている)
むしろあとの事も考えると逆?みたいな気持ちにもなります。(この辺の恨み節失礼)


他にも君というのは犠牲になった陸海軍の実働部隊とみる事も。戦力を失っても、作戦を遂行しているという体裁は保たれるようなイメージといいますか。(これまでも絶対無理・危険だと分かっていても体裁を保つ為に遂行しているような所が見られるので)

勿論、それしか方法がないという言い分もあるかと思いますが、正しい情報を直視せず、時には現場の声も聴かず、無理を押し通し、甘い見通しと無責任さで多くの人命を失った事例は少なくないと感じています。


また映像上、陸の後ろに白い線が走りますが、これは魚雷攻撃を意味しています。(空からの攻撃に加え魚雷でも被害にあったので)



【どうして僕の眼球は濁っているのか】

【全身が海になっていく】

この歌詞は海の藻屑となる、海で亡くなっていくようなイメージを重ねました。



【死ぬまで解けない呪いが凡庸な僕に救いを与えるんだ】

多くの犠牲が、『解けない呪い』・『呪縛』のようになり、そしてそれに苛まれる事が象徴にとって逆に救いとなっているというイメージです。

船団壊滅1
船団壊滅2
船団壊滅3

沈みゆく艦船と散る魂

このシーンは戦い(襲撃)が終わり沈みゆく艦船や人間の魂を表現しました。

この前のシーンでも火の粉と一緒に赤い魂が飛んでいましたが、そちらは戦闘中の阿鼻叫喚のような状況で、こちらは徐々に落ち着いていっているようなイメージです。


【水銀で満ちた浴槽、浸かってしまった僕の軽忽さ】


このくだりは、二つの意味合いを想像しています。一つ目は水銀が不死を連想させるので、死なない象徴達が人を軽視したり、また不死である事が人から疎ましく思われたりするような感じです。次の歌詞に「誰も彼もが笑っている」とありますが、死ねない事が逆に不名誉とされたりもするので、笑われていると象徴達が思っているというニュアンスもあるかなと。


二つ目は水銀で満ちた浴槽は、(私の中では)こちらも死から遠い事を連想するので、安全な場所に居る、命令を出すだけの人達の軽忽な命令と感じます。(そしてそれを黙認し、分かっている象徴達も浮かぶ)


【抜け出せないんだ ずっと】


この歌詞を上からの関連で考えると象徴達の不死から抜け出せない状況や、次々に無謀な作戦命令を出す人たちの状況かなと想像します。


多号作戦4
多号作戦4
多号作戦4

海の中

ここは海で亡くなった方々の魂に囲まれている感じです。


【どこかで狂ってしまった僕の生は、あまりに稚拙な悲劇だ】

【今頃天井で笑っているだろう この人形の終幕を】


二人が自らを自嘲しているようなイメージです。特に人形というくだりが、自分を「人形」と称して嗤っているような感じ。それは人間の影響を多大に受ける、人間の操り人形のような、また人の思いから人の形をなしてしまったものという、客観的な自分の姿を皮肉っているようなニュアンス。

そして天井で笑っているのは、亡くなった人達であったり、また自らを人の形に変えた見えざる何かの力のようなものを指している感じです。

ちなみにここでは二人が参謀飾緒を付けていますが、これはまぁ私が見たいという話で…

多号作戦4

戦争責任

(急に場面が変わっていますが!)このシーンは、戦争が終わり、いわゆる東京裁判を暗に表現しています。

東京裁判についての仔細はここでは省きますが、モーションがもともとこういうものだったのもあり、戦争責任においての陸軍のスケープゴート感を重ねました。海も死んだような目をしているので、色々と思う所があるという感じです。

また、陸の顔が一瞬アップになりますが、実は少し口が動いています。近くにいる海を呼んでいるようであり、また他の何かを言っているようでもあり…ここで何を言っているかは見ている方のご想像にお任せしたいと思います。

戦争責任1
戦争責任2
戦争責任3
戦争責任4


以上!簡単ではありますが、これで動画の説明は終わります。

この曲の歌詞とモーションは、上記で取り上げた所以外にも、ここはこうではなかろうかと想像する余地が沢山あります。また取り上げた所でも別の解釈をする事も出来るので、ぜひ色々と想像しながら見て頂けると嬉しいです。

そして海上輸送というテーマについては、今回はふんわりとしか入れる事はできませんでしたが、別の機会にまた挑戦してみたいと思います。